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INTRODUCTION

唯一無二の天才漫画家大橋裕之のきらめく珠玉作品群、奇跡の実写映画化。監督竹中直人 山田孝之 齊藤工 異能×異能×異能の化学反応から生まれた、カテゴライズ不能のワンダーな映画体験!

孤高の天才と称される人気漫画家、大橋裕之の幻の初期作品集『ゾッキA』『ゾッキB』に収録された珠玉の作品たちを、日本を代表する俳優であり、クリエイターとしても異能を示す、竹中直人×山田孝之×齊藤工という三人が共同監督を務め、一本の長編映画としてまとめ上げた。この破格のプロジェクトに“寄せ集められた”のは、日本を代表する眼福豪華な出演者たち。音楽はCharaが担当。また大橋裕之の生まれ故郷であり、原作が生まれた「聖地」でもある、愛知県蒲郡市が全面支援を行った。

異能だらけのスタッフ&キャスト陣で贈る、至上の愛と面白味に溢れた人間模様。ありふれた日常や等身大の人生で巻き起こる、時にシュールで、時にリリカルな、不思議な笑いと多幸感。
ヒューマンコメディ?体験映画?いや、『ゾッキ』は『ゾッキ』である――
まったくカテゴライズ不能。この映画は『ゾッキ』という新しいワンジャンルであり、原作の世界観を丸ごと詰め込んだ宝箱のような奇跡の実写映画であることをご覧いただいた方々は確信するだろう。

STORY

今日も地球は[秘密と嘘]で回っている。

ある女は、[秘密は大事に、なるべくたくさん持て]と助言する祖父が告白した、秘密の数に腰を抜かす。 ある男は、あてがないというアテを頼りに、ママチャリで“南”を目指す旅に出る。 ある少年は、成り行きでついた[嘘]をきっかけに、やっとできた友だちから“いるはずのない自分の姉に恋をしたと告げられ、頭を悩ませる。 ある青年は、今は消息不明の父と体験した幼い日の奇妙な出来事を思い出していた。 そして、日々なんとなくアルバイトに勤しむひとりの少年は、“ある事件”が海の向こうの国で起こったことを知る――

寄 せ 集 め ら れ た 小さな話の数々。やがてまさかの感動のフィナーレへと突き進んでいく!? なんだかわからないけど、 あなたの明日がちょっと楽しくなる。

ゾッキ

※「ゾッキ」とは、“寄せ集め”という古本市場で使われる特殊用語。

CAST

吉岡里帆 /前島りょうこ

1993年1月15日生まれ、京都府出身。

主な映画出演作
『音量を上げろタコ!なに歌ってんのか全然わかんねぇんだよ!!』(18)、『パラレルワールド・ラブストーリー』 『見えない目撃者』(19)、『Fukushima 50』 『泣く子はいねぇが』(20)

鈴木福 /伊藤

2004年6月17日生まれ、東京都出身。

主な映画出演作
『妖怪人間ベム』(12)、『コドモ警察』(13)、『ピラメキ子役恋ものがたり~子役に憧れるすべての親子のために~』(15)、『ミックス。』(17)、『決算!忠臣蔵』(19)、『#ハンド全力』(20)

満島真之介 /旅人

1989年5月30日生まれ、沖縄県出身。

主な映画出演作
『花筐 HANAGATAMI』 『散歩する侵略者』 『三度目の殺人』(17)、『クソ野郎と美しき世界』 『君が君で君だ』 『止められるか、俺たちを』(18)、『キングダム』(19)、『海辺の映画館 キネマの玉手箱』(20)

柳ゆり菜 /若い女

1994年4月19日生まれ、大阪府出身。

主な映画出演作
『チア☆ダン~女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話~』(17)、『純平、考え直せ』 『ここは退屈迎えに来て』(18)、『ブルーヘブンを君に』 『無頼』(21)

南沙良 /松原京子

2002年6月11日生まれ、東京都出身。

主な映画出演作
『幼な子われらに生まれ』(17)、『志乃ちゃんは自分の名前が言えない』(18)、『居眠り磐音』、『無限ファンデーション』(19)、『もみの家』(20)、『太陽は動かない』(21)

安藤政信 /道場の師範代

1975年5月19日生まれ、神奈川県出身。

主な映画出演作
『キッズ・リターン』(96)、『バトル・ロワイアル』(00)、『サトラレ』(01)、『劇場版コード・ブルー ドクターヘリ緊急救命』(18)、『デイアンドナイト』(19)、『ザ・ファブル 殺さない殺し屋』(21)

ピエール瀧 /定男(漁師)

1967年4月8日生まれ、静岡県出身。

主な映画出演作
『凶悪』(13)、『寄生獣 完結編』(15)、『日本で一番悪い奴ら』 『シン・ゴジラ』 『怒り』 『海賊とよばれた男』(16)、『アウトレイジ 最終章』(17)、『サニー/32』、『孤狼の血』(18)

森優作 /牧田

1989年12月4日生まれ、大阪府出身。

主な映画出演作
『野火』(15)、『太陽を掴め』(16)、『地獄少女』 『蜜蜂と遠雷』 『麻雀放浪記2020』(19)、『佐々木、イン、マイマイン』(20)、『花束みたいな恋をした』 『ある殺人、落葉のころに』 『騙し絵の牙』(21)

九条ジョー /伴くん

吉本興業所属。2013年に結成したお笑いコンビ、コウテイとして活躍中。2020年「第41回ABCお笑いグランプリ」優勝、2020年「M-1グランプリ」準決勝進出。映画出演は本作が初となる。

木竜麻生 /本田

1994年7月1日生まれ、新潟県出身。

主な映画出演作
『まほろ駅前狂騒曲』(14)、『アゲイン 28年目の甲子園』(15)、『グッドモーニングショー』(16)、『菊とギロチン』 『鈴木家の嘘』(18)、『東京喰種 トーキョーグール【S】』(19)

倖田來未 /足立の女房

1982年11月13日生まれ、京都府出身。

主な映画出演作
歌手として、2000年「TAKE BACK」にてデビュー。以後数々のヒット曲を生む。映画出演としては、『キューティーハニー』(04)、『西遊記』(07)がある。

竹原ピストル /父

1976年12月27日生まれ 千葉県出身。

主な映画出演作
『青春☆金属バット』(06)、 『フリージア』(07)、『海炭市叙景』(10)、 『さや侍』(11)、 『私の男』(14)、『永い言い訳』(16)、 『影踏み』(19)、『糸』(20)

潤浩(ゆんほ) /マサル

2011年9月15日生まれ、埼玉県出身。

主な映画出演作
『五億円のじんせい』 『町田くんの世界』(19)、『太陽の家』 『おらおらでひとりいぐも』(20)

松井玲奈 /幽霊のような女

1991年7月27日生まれ、愛知県出身。

主な映画出演作
『はらはらなのか。』(17)、『輪違屋糸里 京女たちの幕末』(18)、『21世紀の女の子「reborn」』 『女の機嫌の直し方』 『今日も嫌がらせ弁当』(19)、アニメ『魔女見習いをさがして』(20)、『半径1メートルの君 上を向いて歩こう』(21)

渡辺佑太朗 /二十代のマサル

1994年3月14日生まれ、新潟県出身。

主な映画出演作
『人狼ゲーム プリズン・ブレイク』 『青空エール』(16)、『野球部員、演劇の舞台に立つ!』 『いつも月夜に米の飯』 『青のハスより』(18)、『カイジ ファイナルゲーム』 『シライサン』 『今際の国のアリス』(20)

石坂浩二 (特別出演) /祖父

1941年6月20日生まれ、東京都出身。

主な映画出演作
『犬神家の一族』(76)、『ビルマの竪琴』(85)、『私は貝になりたい』(08)、『沈まぬ太陽』(09)、『図書館戦争』(13・15)、『相棒 -劇場版‐』シリーズ(14・17)、『みをつくし料理帖』(20)

松田龍平 /藤村

1983年5月9日生まれ、東京都出身。

主な映画出演作
『御法度』(99)、『青い春』(02)、『舟を編む』(13)、『まほろ駅前多田便利軒』シリーズ(11・13・14)、『探偵はBARにいる』シリーズ(11・13・17)、『散歩する侵略者』(17)、『羊の木』(18)、『影裏』(20)

國村隼 /ヤスさん(漁師)

1955年11月16日生まれ、大阪府出身。

主な映画出演作
『哭声/コクソン』(17)、『かぞくいろ RAILWAYS わたしたちの出発』(18)、『ミッドウェイ』(20)、『ステップ』(20)、『樹海村』 『騙し絵の牙』 『MINAMATA(原題)』 『KATE(原題)』(21)

STAFF

監督・企画 竹中直人 インタビュー
1956年3月20日生まれ、横浜市出身。
1983年のデビュー以来テレビドラマや、舞台、映画多数の作品に出演。『Shall we ダンス?』(96)で日本アカデミー賞最優秀助演ヴェネチア男優賞を受賞。映画監督、画家、ミュージシャンとしても幅広く活躍し、91年には、主演も務めた初監督作『無能の人』がヴェネチア国際映画祭で国際批評家連盟賞、第34回ブルーリボン賞主演男優賞を受賞し国内外で認められる。『東京日和』(97)、『連弾』(00)、『サヨナラCOLOR』(05)、『山形スクリーム』(09)などに続き、本作は監督としての長編8作目となる。主な出演作品に、『シコふんじゃった』(92)、『のだめカンタービレ』(09,10)、『カツベン!』(19)、『翔んで埼玉』(19)、『サムライマラソン』(19)、『麻雀放浪記2020』(19)、『燃えよデブゴン TOKYO MISSION』(21)、大河ドラマ「青天を衝け」(NHK/21)がある。

監督・プロデューサー 山田孝之 インタビュー
1983年10月20日生まれ、鹿児島県出身。
1999年に俳優デビュー。2004年TBSドラマ「世界の中心で、愛をさけぶ」で主演を務め、第42回ザテレビジョンドラマアカデミー賞で主演男優賞を受賞。2005年に映画『電車男』で主演を務め、社会現象に。また、映画『デイアンドナイト』(19)ではプロデュース、ドラマ「聖おにいさん」(NHK)では製作総指揮を務めるほかミュージカルの主演などその活動は多岐にわたる。本作では長編映画初監督を務める。主な出演作に、『クローズZERO』シリーズ(07・09)、『凶悪』(13)、『闇金ウシジマくん』シリーズ(12、14、16)、『映画 山田孝之3D』(17)、『50回目のファーストキス』、『ハード・コア』(18)、『ステップ』、『新解釈・三國志』(20)など多数。出演待機作として『はるヲうるひと』(21)、全世界に配信され人気を博した主演ドラマ「全裸監督」(Netflix)続編が控える。

監督 齊藤 工 インタビュー
1981年8月22日 生まれ、東京都出身。
パリコレクション等モデル活動を経て2001年に俳優デビュー。俳優業の傍らで20代から映像制作にも積極的に携わり、齊藤工名義での初長編監督作『blank13』(18)では国内外の映画祭で8冠を獲得。『フードフロア:Life in a Box』では、昨年末AACA(アジアン・アカデミー・クリエイティブ・アワード)にて、日本人初の最優秀監督賞を受賞。本作はJFFLA2020にて最優秀監督賞とニューウェーブ賞を受賞した『COMPLY+-ANCE』(20)に続き、監督としての長編3作目となる。また、白黒写真家としても活動していて、ここ数年は仏ルーヴル美術館にて作品が展示されている。(18年には「守破離」にて銅賞を受賞)劇場体験が難しい被災地や途上国の子供たちに映画を届ける移動映画館「cinema bird」を主宰するなど、マルチに活動している。主な出演作に、『昼顔』(17)、日仏合作『家族のレシピ』(18)、『麻雀放浪記2020』(19)など多数。公開待機作に、『騙し絵の牙』、『愛のまなざしを』、『シン・ウルトラマン』(主演・21)等が控える。
脚本 倉持裕
1972年生まれ、神奈川県出身。劇作家、脚本家、演出家。
2000年、劇団ペンギンプルパイルペイルズを旗揚げし、すべての作品の脚本、演出のほか、M&Oplays「鎌塚氏、放り投げる」の作、演出、劇団☆新幹線いのうえ歌舞伎「乱鶯」、カズオ・イシグロ原作「わたしを離さないで」の脚本などを手掛ける。2004年「ワンマンショー」で岸田國士戯曲賞受賞。TVドラマの脚本に「弱くても勝てます」、「信長のシェフ」、「サラリーマン金太郎」など、NHKのコント番組「LIFE!〜人生に捧げるコント〜」にも参加、12月放送のLIFE!スペシャルドラマ「忍べ!右左エ門」の脚本も担当している。映画『十二人の死にたい子どもたち』に続き、本作が映画脚本2作目となる。
プロデューサー 伊藤主税
1978年生まれ、愛知県出身。
津田肇監督『Daughters』(20)、藤井道人監督『青の帰り道』(18)、『デイアンドナイト』(19) 、待機作に、36人のクリエイターによる短編オムニバス映画を4シーズンに分けて製作する『MIRRORLIAR FILMS』他。映画製作をきっかけとした地域活性化プロジェクトや、俳優向け演技ワークショップ、プラットフォーム開発で映画産業の発展を目指す。
プロデューサー 川端基夫
1967年生まれ、神戸市出身。
大手電機メーカー勤務時に2000年からエンタテインメント業界業務に従事。2003年「ドッペルゲンガー」(黒澤清監督・釜山映画祭オープニング作品)で初プロデューサーとなる。その後、「キューティーハニー」(05・庵野秀明監督)などのプロデューサーを経て退職。その後、海外共作、アニメや舞台も含め大小多くの作品をプロデュース。近年は「一礼して、キス」(17・古澤健監督)「体操しようよ」(19・菊池健雄)等がある。
プロデューサー 川原伸一
1966年生まれ、東京都出身。
『ヒルコ/妖怪ハンター』(塚本晋也監督)より助監督を務める。以降、塚本晋也監督作品を中心に助監督として活動し、『六月の蛇』『ヴィタール』ではプロデューサーも兼任。『悪夢探偵』以降はプロデューサーのほか音楽や大道具なども担当。2015年より大正大学非常勤講師としても活動。

MUSIC

音楽監督Chara

アーティスト、シンガーソングライター。
1991年9月、シングル「Heaven」でデビュー。オリジナリティ溢れる楽曲と独特な存在感により人気を得て、ファッションでも注目を集め、 1992年の2ndアルバムでは日本レコード大賞ポップ、ロック部門のアルバム・ニューアーティスト賞を受賞。1996年には女優として出演した岩井俊二監督の映画「スワロウテイル」が公開され、劇中のバンドYEN TOWN BANDのボーカルとして参加して制作されたテーマソング「Swallowtail Butterfly~あいのうた」が大ヒットとなる。1997年のアルバム「Junior Sweet」は100万枚を超えるセールスを記録。2020年2月にはYUKIとのユニット・Chara+YUKI名義でミニアルバム『echo』リリース。洋楽カバーを含EP『Inner Peace』も配信。
2021年1月、平岡恵子とのユニット jOnOとして「Birthday Card」「Get Your Key」の2曲を配信リリース。デビュー30周年に向け、全く衰えを知らぬ音楽的探求が続く。

HIMI

キャリア初となる音楽監督を努めたCharaは、本作の主題歌「私を離さないで」で、俳優・シンガーソングライターとして活躍する息子・HIMIと共同制作。初デュエットも披露しました。

映画『ゾッキ』は孤高の天才漫画家・大橋裕之の初期短編集のエピソードを多数織り交ぜ実写化した作品。映画主題歌担当として発表されているChara feat.HIMIのほか、ドミコ、ドレスコーズ、Salyu、仲井戸“CHABO”麗市、quu、AAAMYYY Feat.ermhoi,Julia Shortreed、韻シストBAND、Leyona×BASI、MELRAWによる、映画『ゾッキ』のために書き下ろされた全14曲が収録される(インストゥルメンタル楽曲含む)。また「P.L.T」にはテルミン演奏で小山田圭吾、「ひとひかり」には口笛で竹中直人が音楽監督Charaの呼びかけのもと参加するなど、豪華アーティストによる聴きどころたっぷりの作品となっている。
また、オリジナル・サウンドトラックのジャケットは、原作者・大橋裕之による「ゾッキ」イラストを使用したインパクトあるものとなっている。

タイトル:映画『ゾッキ』オリジナル・サウンドトラック
アーティスト名:Various Artists
品番:PCCR-00706
税込価格:2,200円
収録楽曲:全14曲
※2021年3月31日(水)発売予定

詳細はこちら

COMIC

大橋裕之

1980年1月28日生まれ、愛知県蒲郡市出身。
漫画家。
代表作に「シティライツ」「音楽」「太郎は水になりたかった」など。現在、『トーチweb』、『TV Bros.』、『EYESCREAM』などで連載中。「音楽 完全版」を原作とするアニメ ーション映画『音楽』(岩井澤健治監督)は大ヒットを記録。4月9日公開となる『街の上で』 (今泉力哉監督)では、共同脚本を務める。3月5日には『ゾッキ』シリーズ続編となる『ゾッ キ C』が刊行。

原作

  • ゾッキA
  • ゾッキB

最新刊

  • ゾッキC
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インタビュー

監督・企画 竹中直人

――本作は、竹中監督が原作と出会い、そこから山田さんと齊藤さんへお声がけされたということですが、後進の方々と組まれていかがでしたか?
ぼくが直感的に浮かんだ2人でした。山田くんに関してはいままで映画監督をやっていなかったし、今回は監督で参加して欲しいという思いはありましたね。「とにかく3人の監督による『ゾッキ』をやりたい、孝之と工と組みたい」、その思いでいっぱいでした。「『ゾッキ』という大橋裕之さんの作品を映画にしたいんです!最高の漫画だから是非、力を貸してください!」と伝えました。
――作品を読んで感じた面白さが、竹中さんを映画化に駆り立てた原動力だったのでしょうか。
大橋さんの言葉やひとつひとつの物語すべてが感動的だったんです。脚本家の倉持裕さんが「オムニバスではなく、一本のストーリーにしたほうが面白いんじゃないか」と提案してくれて、いい具合にそれぞれが「撮りたい」と思っていたエピソードを融合した形の脚本に書きあげてくれました。
――映画と町の結びつき、という感覚ですと、今回は大橋さんの故郷でもある愛知県の蒲郡市で撮影を行っています。
とても素敵な街でした。なんともいえない懐かしさがあり、心が落ち着く本当にいい街でしたね。おかげでロケハンも順調で、理想的な場所がちゃんと存在していた。それにご飯がとっても美味しかった!
ただこの映画は、蒲郡を蒲郡としては撮っていないです。ある“架空の町”として撮影しています。だからよくある観光映画ではないんです。それは大切なポイントですね。
――山田さん、齊藤さん共に役者業にとどまらず、監督業やプロデュース業など多岐にわたり活躍をされています。役者というものについて今現在、どうお考えですか?
ぼくは基本的に「役者のあり方」みたいなことを、考えたことがないです。みんな肩書にこだわりすぎていると感じます。「肩書で判断する」感覚が自分の中にはないですね。だから「役者が監督をする」みたいな意識がない。僕自身は、“出会い”のことしか考えていません。1つの作品を作るときに、「誰とこの作品を形にできるか」が自分にとっては大切で、「これ最高だよね!」と言い合えるような友だちが欲しい、価値観を共有できる人たちに出会いたい、それだけですね。大橋さんの作品を映画化するという企画に賛同してくださった方々が集まってくれて、それでちゃんと形になった、夢を形にできたのが本当にうれしいです。
――観客に“届ける”という意識については、いかがでしょう?
エンターテインメントというと、「大きく広げなくちゃ」という意識になりがちだけど、独りぼっちのエンターテインメントもあれば、2人だけのエンターテインメントもある。大切な友だちだけに、そっと教えるエンターテインメントもあるもんね!

監督・プロデューサー 山田孝之

――『ゾッキ』で監督デビューを果たされましたが、どんなお気持ちで臨まれましたか?
分からなくて戸惑うことは100%あるとわかっているから、そうなったときに素直に質問して、助けが欲しいときは「助けてください」と言って、スタッフ・キャストの皆さんの力を借りて一緒にやっていけば何とかなるだろうという感じでしたね(笑)。一番のハードルは、監督としてそこにいると、現場の中心になるということ。それが自分には向いていないことはわかっていて、みんなが「監督、これどうしましょう」と来てくれることがプレッシャーにもなり、うれしくもありました。
――ハリウッドなどでは俳優が監督やプロデュースを務めるのは往々にしてあることですが、山田さん自身、『デイアンドナイト』(19)等、近年ではプロデューサーとしても活躍されています。
日本では「俳優が監督をやる」「俳優がプロデューサーをやる」と、職業やジャンルへの意識が強いですよね。僕はそこをいちいち分ける必要がないと思っていて、そうしてガチガチに固めたら、色々なことに挑戦できない。「いい作品を作りたい」という意識があるのなら、お互いに知ったうえでチームになれば、もっと良い関係が築けると思うんです。僕はプロデューサーをやってみて、カメラの前に立っていたときは知らなかった大変なこともいろいろ経験したし、現場のメンタルとフィジカルをちゃんとサポートしたい、映画づくりにはそれだけの価値があると気づいたんです。だからこそ、自分がプロデューサーとして入る現場では、“ちゃんと”やりたいと思いました。
――具体的にはどんな取り組みをされていたのでしょうか?
今回は、睡眠時間を守るために「予定シーンの撮影が終わったら、8時間空ける」というルールを決めました。もちろん、映画作りで最もお金がかかるのは人件費だから、キツキツのスケジュールで作品を作るという流れも、わからなくはない。でも、1人でも多くの人に観てもらいたいなら、やっぱり質を高めるべきなんです。そのためにはまず、現場を守る必要がある。そのうえで、作り上げた作品が良いものだと認められて、多くの人に観てもらえて、使ったお金を回収できたら一番いいですよね。
僕は20年ぐらい役者をやってきて、はっきり「芝居が好き」「映画もいいよね」と言える。でも、無駄なストレスが多すぎてそう言えない若い役者って、いっぱいいると思うんです。そういうネガティブな部分を少しでも減らしていって、みんなが「芝居が好き」「俳優って誇らしい」と言えるようにできたらなと思ってやっています。

監督 齊藤 工

――監督やプロデューサーや写真家など俳優というジャンルの枠を超えた活動をされています。
僕は竹中さんの初監督作『無能の人』(91)に感銘を受けて、20代の最後に監督業に思い切ってトライしたんです。竹中さんにはその頃からずっとクリエイティブな大きな背中を見せて貰っています。そして山田さんの前例がないところにぐんぐん進んで行く、"山田孝之の轍"にはものすごく刺激を受けています。俳優の枠に収まらないお二人の影響を受け、微力ながら"斎藤工"の立場だったら何ができるだろう、ということを考察する中、自分の中では「届け人」に辿り着き、被災地を中心とした地域での移動映画館などの活動を行ってきました。「cinéma bird」でお届けしたいのは、見ず知らずの人と同じ空間で感覚や感動を共有するという事。映画は観た後にそれぞれの心の感じ方をシェアした時に初めて色付くのではないかと思っています。
いま、コロナ禍によってサブスク主体になってきていたり、劇場の運営がより厳しくなったり、映画に対する様式も変わってきています。そんな時期において、『ゾッキ』は、自分の胸の中だけのささやかな出来事の連続を共有できるような、自粛期間には中々体験出来なかった日常の他者との関わりやささやかな“うまみ”が詰まった特別な映画なのかなと思っています。観た方の『ゾッキ』がどうだっか、是非シェアして頂きたいです。
――『ゾッキ』の現場では、託児所を設けられたそうですね。
映像業界で働く女性たちが、出産や育児と共に業界を離れていく流れをここ20年くらい、多々見てきました。フランスやアメリカ等海外での撮影現場では、キャストやスタッフ問わず、作品に参加する人のプライベートやパーソナリティを現場が徹底して保証する健全なユニオンのシステムを目にして、国内の現場の様式に疑問が湧いてきました。女性だけでなくて男性もですが、人の親になる事が弊害になるのはおかしいし、事実邦画界は多くの希有な才能をシステム的に逃がしていると思います。
そこで、本当に小さなのろしではありますが、齊藤組は2019年のHBOアジアのプロジェクトから、地域のフィルムコミッションの方と話して、ベビーシッターさんに勤務してい託児所を設ける動きを始めました。その前例があったので、今回も山田さんやプロデューサーの伊藤主税さんに「地域で映画を撮るであればなおさら、地域の働く女性たちの託児所と、制作体制をセットにできませんか」とご相談し、快諾を頂きました。
――『ゾッキ』からは、映画や漫画といったサブカルチャーの復興、というような意識も感じられたのですが、いかがでしょう?
今回だと、僕はサントラにそれを強く感じました。『ブロウ』や『ソーシャル・ネットワーク』みたいにサントラが欲しいと思う日本映画って近年あまりなかったように感じていたのですが、『ゾッキ』はCHARAさんが集められた素晴らしい才能により、1枚のCDとして欲しくなるのと同時に「音楽が映画を包んでいる」作品になっています。出ているキャストからでも、ミュージシャンの方たちからでも入っていけるような、まさに"ゾッキ的"な様々な入り口を生み出せているんじゃないかと思います。